Das-Association

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Richard Sinclair訪問旅行記4日目 in 2019

前回のあらすじ:ピュアという概念の擬人化

 

2020年1月1日

この日も12:00に待ち合わせ.

リチャードは10分ほど遅れての登場でした.

 

車に乗り込んでさっそく「Happy New Year!」と挨拶します.リチャードも笑顔で「Happy New Year!昨日は疲れていたけど大丈夫だった?」と挨拶してくれました.その後車を発進させながら,対向車にも「Happy New Year!」と大声で呼びかけていた.

 

昨日の新年パーティーはとても楽しかったようで,ご機嫌なリチャードです.夜遅くまでやっていたようで,ヘザーは疲れて家で寝ているとのこと.「あなたも疲れているんじゃ……」と言ったら,「平気だよ~」と笑顔.

RS:新年の挨拶に,友達の家へ寄っていきたいんだけどいいかな?全員イタリア人で英語は分からないんだけどね,それでも僕らとても仲が良くて家族も同然なんだ!

 

もちろんいいですよ,ということでまずはその友人の家へ向かいます.

友人の家もリチャードの家と同じく街からは離れた場所にあるようで,ひたすら田舎道を走っていきました.途中,目の前に鉄塔がぽつんと一つだけ現れたので,何なのか聞いてみます.

RS:あれはテレビ,ラジオとかインターネットとかの電波塔だよ.

私:そういえばあなたの家にはテレビがないですね.普段見ないんですか?

RS:うん,一切見ない!ああいったものは大概くだらないし.テレビとかネットとか,そういったものは僕を楽しませないんだ.僕を夢中にさせるのはこの自然,この風景だよ.

リチャードの自然に対する愛は深い.

RS:それなのに人間の手によって自然は壊されていっているよね.本当によくないことだよ.もっとみんな地球の立場に立って考えなきゃ…….

 

環境破壊に怒りを示すリチャードの話を聞きながらしばらく走っていくと,やがてその友人の家に着きました.大きな家です.庭にふさふさした毛の大きな白い犬が一匹いました.リチャードが車をとめるやいなや近づいてきます.おりると私やリチャードのそばにまとわりついて離れない......イタリアの犬はどこの家も人懐っこいのか?

 

家に入ると,3人のイタリア人男性が出迎えてくれました.

リチャードが私のことを紹介してくれ,また3人のことも紹介してくれます.内1人はミュージシャンで,色んな楽器をやるそうです.よくリチャードともこの家でジャムっているとのこと.

3人にすすめられるがままにテーブルにつき,コーヒー(エスプレッソ)を入れてもらいました.

テーブルの上にピーナッツが入った籠が置いてあり,すすめられたので殻を向いていると「ピーナッツは日本語で何というのか?」と話しかけられました.

私:(ぶっちゃけピーナッツで十分通じるけど……)落花生です.

イタリア語で何というかも聞いたのですが,失念してしまいました.

 

ちなみにリチャードが言う通り,3人は全く英語がわかりませんでした.

そのためここでの会話はほぼすべて3人がイタリア語で話し,リチャードが英語でそれを私に伝え,私の答えをリチャードがイタリア語と英語のミックスで3人に返すという,カオスな状況のもと行われていました(あのリチャード・シンクレアに通訳させてしまうとは……)

リチャードは前日同様,この状況を大いに楽しんでいるようです.

RS:ねえねえ,この色は日本語で何て言うの?(テーブルクロスを指しながら)

私:

RS:あか!ちなみにイタリア語ではロッソだよ.

と言ってけらけら笑っています.

 

その後,せっかくだからジャムろう,とリチャードと友人の1人が玄関に向かいました.入ってすぐのところが広いホールのようになっており,そこにピアノやギター,ダブルベースなどが置いてあります.

外にもドラムが置いてありました.先に外に出たリチャードが,戯れに手でドラムをポコポコたたいています.友人にスティックを渡されそうになると,苦笑してやめていました.

その後中に戻って,ギターを抱えるリチャード.

 

マジでこのときリチャードの空気が変わりました.

 

変な言い方ですが「我々の知っているリチャード」になったというか,ミュージシャンとしてのリチャードがこのときはっきり現れた感じでした.

これまでのリチャードの挙動があまりに天使すぎて,正直「私と一緒にいるのはピュアを司る神が人間界に送り込んだ使いか何かかな?」とか思い始めていたかにょでしたが,「あ,この人リチャード・シンクレアだわ.私の好きなCaravanとかCamelとかHatfield and the Northにいたあのリチャード・シンクレアなんだわ.」ってしみじみ実感した瞬間でした.

 

リチャードの友人はダブルベースを弾き,しばらく二人でとりとめもなく演奏を続けていきます.リチャードはギターを弾きながら,そこに「ラララ~」とあの優しい声で即興のメロディをのせていっていました.

その友人が色んな楽器をやるというのは本当で,しばらくダブルベースを弾いたあと今度は別のギターを取り出して弾きだしました.その次はピアノ.そしてまたギターへ,といった具合です.リチャードはずっとギターでした.

友人が何を弾いてもそこにリチャードのギターと声が優しく溶け合い,ゆったりとした暖かい音楽となって空間を満たしていく幸せな時間でした.

途中,ふと演奏をやめたリチャードが「ほれ」と茶目っ気たっぷりの顔で私にギターを渡してきたので,思わず「無理です」と日本語で即答すると笑ってギターをとって再び弾いていました.

 

そうこうするうちにさらに客人がやってきました.男性が3人に,とても美人で若い女性が一人.どういう関係性なのかはわかりませんでしたが,男性のうちの1人はリチャード曰くダブルベースの名手とのこと.

女性はこの中で唯一英語が話せるイタリア人ということで,彼女とキッチンのほうに呼ばれてしばらくおしゃべりをしました.彼女の住んでいるところはマルティーナ・フランカではないそうです(どこかは聞いたけどよくわからなかった.海岸沿いの街らしい).とても気さくな方で,「とてもいいところだから今度イタリアに来るときは是非そちらにも来てね!ぜひ案内したい」と言ってくれました.

 

そんな話をしていると,リチャードたちが演奏を再開したようだったのでまた聴きに行きます.例のダブルベースの人が加わってトリオになっていました.

リチャードは私が戻ってきたことなどお構いなしで演奏に没頭しています.本当に本当に音楽が好きなんだな…….

「Caravanにいたときは一日中音楽のことをやっている,というわけにはいかなかったけど,Hatfield and the Northではそれができた.それがとてもよかった.」とHatwise Choiceのブックレットにも書いてありましたが,改めてその言葉には何の誇張もないのだと実感しました.放っとけばこのまま夜までやり続ける勢いです.

 

一旦演奏が中断すると,ずっとダブルベースを弾いていた方が笑いながら「コードがコロコロ変わるからついていくのが大変だ.」というようなことをリチャードに言っていました.多分.うまく聞き取れなかったのであまり自信はない.

その後その人は皆と話にキッチンへ.リチャードは彼のダブルベースをとても褒めていました.

 

その後もどれくらいジャムっていたのか,昼に来たはずなのに帰るころには17時くらいになっていました(4時間くらいやってたんじゃないかな)

友人たちに厚くお礼を言って,リチャードと再び車に乗ります.

空はとてもきれいな夕焼けでした.地平線まで続くピンク色の夕陽が,薄暗くなりはじめた草原と田舎道を幻想的に染め上げていきます.まさに「グレイとピンクの地」そのものでした.

私:In the Land of Grey and Pinkですね.

と話しかけると,「Yeah!」と嬉しそうなリチャード.

RS:僕はこの風景が大好きなんだ.時間とともに変わっていく,この美しい景色がね.

 

リチャードの家に着くとヘザーが笑顔で迎えてくれました.早速夕飯の準備が始まります.今日の夕飯はフィッシュ&チップスとのこと!リチャードに「魚ばかりだけどきみは大丈夫かい?」と聞かれたので,オールOKと答えます.

 

またヘザーとお話をしながら料理ができるのを待ちます.

ヘザーがオランダに住んでいた頃の話を少ししてくれました.フリースラントというところに住んでいたのだとか.その頃の移動手段はもっぱら自転車だったそうです.

 

ちなみにトゥルーロの入り口にアフリカっぽいデザインの謎の人型の像があったのですが,それはオランダにいるときにモロッコ製品専門店で買ったのだとか.情報量が多いな.

大きさとしては平均的な人の身長くらいあって,目を閉じて耳をふさいでいます.首から下の部分は空洞.何に使うのかずっと謎だったのでこの日ようやく二人に聞いてみたら,CDラックだとのこと!

「ほらこうして使うんだよ~」とリチャードが実際CDを持ってきて見せてくれました.よく見れば空洞の部分に溝がたくさん彫ってあって,CDケースが水平におさまるようになっています.

RS:この像はうるさ~い!ってやってるんだ.耳をふさいでるでしょ.No Music~!ってね!

像の真似をして,目を閉じて耳をふさぎながらはしゃぐリチャード.

 

その後キッチンで機嫌よくフィッシュ&チップスを作っていくリチャード.付け合わせはグリーンピースのゆでたので,バターと合えながら「Love & Peace……Fish & Chips……」とジョークを飛ばしています.

リチャードの作るフィッシュ&チップスは一般的なイメージのものと少し違っていて,衣自体に味がついていました.唐揚げのような感じです.そう伝えましたが,あまりピンと来ていないようでした.唐揚げは食べたことがないらしい.

 

食事を始めると,リチャードはセーターを脱いでTシャツ一枚になっていました.寒くないのか.ちなみにこの日も,前日私がプレゼントした浮世絵Tシャツでした.

 

食べながら,何かの折にフィル・ミラーの話になりました.確かヘザーがズボン丈の話をしていたので,そこから私が「For Phil Miller's Trousersですね(笑)」とか言ってフィルの話を振ったんだった気がする.リチャードは「フィルのズボンは大きいから!」と笑っていました.

私:フィルとあなた,どちらのほうが背は高かったんですか?

RS:うーんどっちだろう……多分フィルじゃないかな.でも彼はステージ上でいつも猫背だったから,僕はピンと背筋を伸ばすようにしていたんだよ.

と得意げに胸をはるリチャード.

 

このときHatfield and the Northの話にもなったため,私が「Hatfield and the Northの曲全部大好きです!」と伝えたら,リチャードがめちゃくちゃ嬉しそうな顔で「僕もだよ!」と言ってくれました.一生の思い出です.

 

食後に,リチャードが硬貨のたくさんつまった壜とトレイを持ってきました.トレイの上にガラガラと硬貨をぶちまけ,「この中から日本円を探して!」とのご指示.

言われるがままに日本円だけをピックアップしてよけていきました.フランとか,今は使われなくなった硬貨もいくつもあって面白かったです.それだけリチャードが色んな国を訪れているということなんだな,と一人でしみじみ.

 

見つけた日本円は全部で600円ほどになりました.リチャードに「選別終わりましたよ」と声をかけると,「じゃ,それあげるよ.」

 

……?????

 

私:いやいやいやもらえないですよ!!!!!

RS:どうして?その硬貨もう日本じゃ使えない?使えないならわざわざ持ってかなくていいけど.

私:使えますけど,これはあなたの思い出になるものでは?大切なものでしょう.

RS:まさか!それはただのお金だし何の記念にもならないよ.僕にとってはこっちが思い出だ.

と私のあげたTシャツの襟元をひっぱるリチャード.

RS:僕が持っていてもそのお金は使う機会もないのだし……使わないものを持っていてもしょうがないよ.君は使うんだろう?だからきみにあげるよ.

 

ひええ……

というわけで600円ほどをリチャードからもらって帰ってきました.ちなみにもったいなさすぎて使えていません.

 

その後日本にいる私の友人に向けてリチャードからサインをいただきました.

どうもリチャードは人の名前を覚えるのは恐ろしく苦手なようですが(私の名前も滞在中何度か確認されました.日本人の名前にはなじみがないから余計かもしれない),決してその人自身のことを覚えていないわけではありません.

私が友人のスペルをリチャードに見せると,「あ,この名前見たことある!」と前の来日時にその方がライヴに来ていて,話したこともはっきり覚えていました.

このように個人個人とのエピソードを凄く覚えていてくれます.夕食時にヘザーと今回の旅程について話していたときも,横から「彼女,ブリティッシュエアウェイズが好きなんだって!」と言ってくれました.初日に私が話した,そんな些細なことまで覚えてくれているなんて……

 

帰り際に,ヘザーがリチャードとの2ショット写真を撮ってくれました.その後は3人での写真撮影も行います.

 

リチャードとは明日も会う予定ですが,ヘザーとは今日が最後なので厚くお別れの言葉を交わしました.その後はこれまでのように,リチャードが車でホテルまで送ってくれます.

私が車を降りると,リチャードも毎度のように車から降りてわざわざおやすみを言ってくれました.

RS:今日はまださよならじゃないね,また明日も会うから.

とニコニコ.

この日も,やっぱり私が部屋の前にたどり着くまで見ていてくれました.

 

 

いよいよ明日は最終日!(といってもかにょが帰るだけですが)

果たして無事帰国できるのでしょうか……乞うご期待!

Richard Sinclair訪問旅行記3日目 in 2019

前回のあらすじ:シンクレア家の犬がかわいい

 

2019年12月31日

また7:00くらいに起床.イタリアに来てから朝が強い.

前日のリベンジとして,朝ごはんを食べがてら街を探索することにしました.

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この日はとても天気がよく,寒さも幾分やわらぎテンションも上がってきたのでやや長めに散歩してきました.

途中,見かけたスーパーマーケットでリチャードとヘザーへのお土産にビールを購入.3瓶1セットで3ユーロほど!イタリアはいいとこですね.

 

そのまま部屋に戻りベッドの上でぼーっとしていると,約束の10分くらい前にドアをリズミカルにノックされて落ちそうになりました.大急ぎでドアを開けに行けば,リチャードが笑顔で立っています.

 

RS:やあ!昨日は12:00ちょうどだったからね.今日は早めに来てみたよ!今日は昨日と違ってとてもいい天気だね.ハッピーデーだ!ヘザーは家にいるよ.せっかくだからきみを連れて海岸までドライヴしに行こうと思って.すごくきれいな風景だから,ぜひ見てほしいんだ.

 

かにょイタリアに来てから何度目になるかわからない生命の危機.深呼吸をすることでなんとか事なきを得ます.

 

リチャードと一緒に車に乗り込み,ドライヴへ出発です!

途中の交差点のようなところで,あまりにも多い車と荒い運転のドライバーたちに,リチャードがため息をついていました.

 

RS:これだけはイタリアのよくないところだね.イタリアンドライバーだけは.

 

リチャードの言う通り,イタリアはめちゃくちゃ車が多い上に運転がはてしなく荒いです.おまけに左ハンドルときているのでカーブのときは本当に怖かった.リチャードの運転は普通ですが,他のドライバーたちの無茶な運転に思わず悲鳴をあげたことも何度かありました.

 

運転をしながらずっと喋りつづけるリチャード.

RS:イタリアは食べ物も風景も本当にいいところなんだよね.今僕が住んでいるところは周りに人が少なくて静かで,本当に素晴らしいところだよ.それからイタリアは建物も素晴らしいよね.例えばこういう古い建物とかね.

 

道の左側にあるレンガ造りの廃屋を指します.次に,ちょうど反対側にある現代的な新築のビルを見て顔をしかめるリチャード.

 

RS:こっちはひどいね.僕はこういう新しいビルより,あっちの古いビルのほうが好きだな.

 

大工として働いていたこともあるくらいだし,やはり建築関係には興味が強いのだろうか……と思って話を振ってみます.

 

私:リフォームとかそういうこともお好きなんですか?

RS:うん,リフォームしたり物を作ったりすることも好きだし,料理も好きだよ.僕にとってそれらは音楽をするのと同じくらい自然なことだね.僕がそうやって何かをすることで人々が喜んでくれるなら,僕は嬉しいんだ.

 

そのまま田舎道を突っ走るリチャードとかにょ.

周りに家がほとんどなく,見晴らしのいい一本道でとても気持ちがよかったです.

途中,丘のようになっているところでリチャードがわざわざ車を停めてくれました.眼下に街の景色が広がり素晴らしい眺めです!

 

RS:これを見てほしかったんだ!イタリアの風景はきれいでしょ?あっちの方角がマサフェラだ.すぐ近くに海もあるからよく泳ぎに行くんだよ.

 

しばらく二人で景色を眺めていましたが,その後また車を発進させ,マサフェラに向かいます.街に入ると,大きなスーパーの駐車場でリチャードが一旦車を停めました.

RS:ちょっと買い物をしてくるよ.悪いけど,エンジンの調子が悪くて一度止めるとつかなくなるかもしれないんだ.このままかけっぱなしにしておきたいから,車の中で待っててもらっていいかい?すぐ戻ってくるから.

というわけで,買い物をしに颯爽とスーパーへ入っていくリチャード(というかそれ車の調子悪すぎやせんか……修理とか出さなくて大丈夫なんか……).ほどなくして大量のパンや油,サーモンを手に戻ってきました.

RS:今日のお昼はサーモンだよ!サーモンは平気?

私:好きなので大丈夫です!リチャードは肉より魚のほうが好きなんですか?

RS:そうだね.ベジタリアンってわけじゃないけど,魚のほうがよく食べるよ.肉を食べるのはうちの犬のほうが多いね!

と大笑い.確かに前の日に買ってた量凄かったしな.

元来た道を戻りながら,今度はリチャードの家へ向かいます.

 

RS:イタリアは物価が安いんだよね.お酒もタバコもとても安い.

私:それは私も思いました.ビールとかとても安いですよね.

RS:日本は物価も高いし,家賃も高いから住むのは大変だよね.そういえばハットフィールドのころ,デイヴ・スチュワートはお金の計算にとても細かくて……イギリスのお金はポンドとかペンスなんだ.イタリアはユーロを使っているけど,ユーロはよくないよね.僕はあまり好きじゃないな.貨幣というのはその国の文化だよね.いろんなカラーがあっていろんなお金があるんだ.ユーロはそれをすべて均一化してしまっている.アイデンティティの崩壊だよ.

憂いを帯びたため息をつくリチャード.

RS:で,何の話をしていたんだっけ?

私:デイヴ・スチュワートが…….

RS:ああそうそう!デイヴね!彼はとってもお金の計算に細かくって,何ペンスってとこまできっちり計算するんだ.それはきっちりね.ところで君は楽器はやらないと言っていたけど,歌ったりはしないの?

私:歌わないですね.

RS:どうして?歌えばいいのに!簡単だよ.

私:そんなにいい歌声でもないので…….

RS:またまた,何言ってるんだ!

と優しく笑うリチャード.「ほら聴いて!」と車の窓を開ける.青い空に緑の畑,冷たいけれど気持ちのいい風が入ってきます.

RS:この色も,においも,風の音も……すべてが音楽なんだよ.すべての人やものが美しい声を持ってるんだ.きみだって歌えるさ.難しく考える必要はないんだよ.

 

そんな話をしている間にリチャードの家に着きました.

昨日も門が開くのは見ているけれど,改めてリチャードは「ほらこれ自動なんだよ~すごいでしょ!」とはしゃいでいます.「ピュア」という概念を擬人化したらこうなるんだろうな.

 

家に入るとヘザーが笑顔で挨拶してくれました.昨日と同じようにこれからリチャードがご飯を作ってくれるというので,ヘザーと2人座って待っていることに.

 

お手伝いすることもなさそうだしあんまり話しかけては邪魔かなとじっとしていたら,ヘザーが自身の陶芸作品を見せてくれました.

植物を植えるプランターや,セレブの風呂場にあるような口からお湯が出てくるアレなどで,どれも妖精の顔のデザインになっています.イタリアに来てからではなく,カンタベリーにいたときに作ったものとのこと.ヘザーはカンタベリー美術大学で陶磁器を勉強していたそうですカンタベリーは奥さんやガールフレンドが美術方面に強いパターンがわりと多い気がする)

一緒にヘザーの作品を鑑賞していると,リチャードが別の作品を持って現れました.

RS:これひょっとしてきみは知ってるんじゃない?

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Hugh Hopper Bandのジャケットのやつだ!思わず写真に撮らせてもらいました.

ヘザーにどうしてこれを作ることになったのか聞いたら,ヒューから直々に頼まれたそうです.リチャードは,「ヘザーは僕のお気に入りのアーティストの一人だよ!」と言っていました.陶磁器が有名な日本にヘザーも連れていきたいという想いが強いそうです(ヘザー自身は日本に行ったことは一度もないのだとか)

リチャードの日本愛は凄まじく,日本に行ったときに買ったという浮世絵のコースターや,銭形の栓抜きなども見せてもらいました.栓抜きには漢字が彫ってあったので何という意味か聞かれたのですが,私の英語が拙いのと,日本語も拙いので書いてある漢字が何かわからず説明できませんでした.ポンコツの擬人化です.

 

ここで二人に日本で買ってきたお土産を渡しました.どちらもTシャツで,リチャードには浮世絵が描かれたものを,ヘザーには和風の花柄がプリントされたものをプレゼント.二人ともとても喜んでくれました.

リチャードのTシャツには金閣寺が描かれていたのですが,それを見て「これは京都のお寺だよね?たしかキンカク……?」と呟いています.さすがすぎる…….

 

「半袖だから今の時期は寒いし,夏に着てくださいね.」と言ったのですが,大喜びのリチャードは早速自室に戻って着替えてくれました(!).

Tシャツを着たあと,一人ノリノリで踊るリチャード.ピュアの権化か?かにょはもう息の吸い方すら忘れてしまって瀕死ですよ.

 

そのうちにサーモンの焼けるいい匂いがしてきました!ハーブとかの香草やしょうがと一緒に焼いているようです.

キッチンに立つリチャードに「Let’s Eat, Real Soon!」と声をかけたら,一瞬きょとんとした後すかさず「I’m vitamin-enriched~♪」と歌い出してくれました.

一節だけで終わってしまったので,後をひきとって「No artificial processing~♪」と口ずさんだらなんとそれにあわせて歌ってくれた……!そして私を見てにっこりするリチャード.

RS:ほら,歌えるじゃない!

 

焼きあがったサーモンを昨日と同じくあずきごはんとともにいただきます.

飲み物は私が買ってきたビール.例の銭形の栓抜きで開けました.銘柄も何もわからず買ったのですが,リチャードの好きな銘柄だったようでよかった!モレッティというビールでした)

 

この日の料理もとても美味しかったです.

リチャードの料理は全体的に味付けがそんなに濃くなく素材の旨味を活かすタイプなので,イタリアの食材がそれだけ美味しいというのもあるでしょう.

ちなみにリチャードの魚の食べ方はとてもきれいでした.私ははっきり言って苦手なので恥ずかしかった……魚食べるの練習しなきゃな…….

 

そして食後はリチャードがインタビューの時間をとってくれました!

片付けが終わった後,二人で再び向かい合ってテーブルにつきます.ヘザーは気を使って別室に移動してくれました.

そんなわけでインタビューした結果がこちらの記事です!しつこいけどこちらにも再掲させてください(笑)!

kanyo-rsqp.hatenablog.com

 

インタビューがひと段落ついたとき,おもむろにリチャードがギターを持ってきました.

RS:きみは作曲のこととかについて色々聞いてきたけど,音楽を言葉で説明するのは難しいんだよね.だから実際に見てもらった方がいいかと思って.

 

……!?!?!?

 

まさかのリチャード独演会の始まりです.

RS:僕はマイナーからメジャーにいくほうが好きなんだ.よりハッピーな方へ向かうのがね.

と言いながらOut Of Shadows, Halfway Between Heaven And Earth, Keep On Caring, Licks For The Ladiesを歌ってくれました.そして初めて聴く新曲も少しだけ(!?).

リチャードによると,Keep On Caringはリチャードが息子さんに初めて教えた歌なんだそうです.

RS:僕が子どものとき,父がギターを抱える僕を後ろから抱えて,一緒に弾きながら歌ってくれたんだ.”She'll be comin' 'round the mountain when she comes♪”※ってね!この歌は父が僕に教えてくれた歌なんだ.だから僕も自分の息子に歌を教えようと思って.Keep On Caringは音程の上下動が少なくて難しくないでしょ.

※この歌は「あの子が山にやってくる」というアメリカのフォークソングです.

 

しばらくリチャードが演奏し,合間に色々と喋り,また演奏し……という時間が続きます.

とりとめもない話をたくさんしていたので,どういう流れでその話になったかまで覚えきれていないのですが,好きなミュージシャンの話やカンタベリーの話などをしていました.

リチャード曰く,「皆よくお気に入りのミュージシャンを聞いてくるけど,結局は自分が今までに共演してきたミュージシャンになるんだよね~」とのこと.

 

RS:人を楽しませる音楽のほうが好きなんだ.自分だけで完結している音楽はあまり好きじゃないんだよ.父がいつも「人を喜ばせることをしなさい」と言っていたんだ.だから僕は音楽をやるし,料理やその他色んなことも同じ理由からやるのさ.

 

カンタベリーについては,思い切って「カンタベリー・シーンという呼称,括られ方についてどう思いますか?」と聞いたところ,

RS:僕はシーンの中でも本当に根っからのカンタベリー出身だし,家族もずっとカンタベリーに住んでいた.そこに皆が集まってきて一緒に音楽をやって……そしてその皆というのは僕の好きなミュージシャンたちだ.だからそれを「カンタベリー」と呼ばれることは僕にとってはOKだよ!

と笑顔で答えてくれました.さらに,

RS:僕のいたバンド……CaravanもCamelもCから始まるし,CanterburyもCから始まる.そしてCといえばCコードだ!だから万事OKさ(笑)

とけらけら笑っていました.

 

前の記録でも書きましたが,リチャードのお父さんに対する敬愛はとても深く,この後お父さんがいたバンドのロゴマークの看板を見せてもらったりしました.

大工仕事を行う部屋も案内してもらい,そこでも「これは父が使ってた道具だよ~」と色々と持ってくるリチャード.本当に物持ちが良すぎる.私はすぐ物を失くすし使わないものはバンバン捨ててしまう主義なので,ただただ尊敬で舌を巻くばかりでした.

ちなみに大工道具を入れている箱には全部ラベルが貼ってあって何が入っているか書いてあったのですが(そういうところもまめだな~),リチャードがサインするときに使う半円の印がそこにも使ってある!

リチャードによると

RS:これは僕のにっこりマークだよ~(笑)

とのこと.どうやったらこんな無邪気な人格に育つんですか??ここまでくるともはや神が地上に与え給うた人類の希望では.この困難な世の中にあって人類が必要としているのはリチャード・シンクレアですよ(個人の意見です)

 

その後は恒例の犬猫たちへの餌やりをお手伝いさせていただきました.

昨日買った(と思われる)肉を野菜と一緒に煮込んだ鍋をいくつも運んでくるリチャード.めちゃくちゃ手間かけてるな……というかこれ,普段私が日本で食べてる食事よりちゃんとしてるのでは.

それをどんどんボウルに開けていき,犬たちを外に出して食べさせます.

外に出る前に,リチャードにブランデーを手渡されました.

 

RS:外はめちゃくちゃ寒いからね.これ飲むとあったまるよ.Camelにいたとき,デイヴ(シンクレア)が海岸沿いの街にライヴに行くとよく海で泳いでいたんだけど……すごく寒い時でもブランデーを飲んであったまってから泳ぎに行くんだ!アンディ・ラティマ―とか他のメンバーは皆信じられないって顔してたよ.

 

何それ想像するとめちゃくちゃ面白い.

 

犬猫たちへの餌やりを無事終えた頃,初日に駅まで迎えに来てくれたヴィンチェンゾと,さらにその友人が連れ立ってやってきました.

今日は大晦日のため,これから新年パーティーをするのだとか.

君もぜひ一緒に,とリチャードに言ってもらえてめちゃくちゃ出席したかったのですが,さすがにここでどっと疲れが噴出していまい……いてもそのまま寝てしまいそうだったので,泣く泣く辞退してホテルまで送ってもらいました.出たかった......マジで.......

 

なお,リチャードはイギリス人,イタリア人,日本人と多国籍が一堂に会している状況を大いに気に入ったようです.突然,「君の年齢は?」と聞かれたので答えようとしたら

RS:違う違う!君の国の言葉で,日本語で答えて!

私:??二十六歳です.

RS:ニジュウロクサイデス!

ヴィンチェンゾたちも一緒に復唱して,皆で楽しそうに笑っています.英語,イタリア語,日本語が飛び交うカオスな状況を心底楽しんでいるようでした(でもこれ,26をニジュウロクサイデスと間違えて覚えてしまったかもしれない......「です」は要らんかったかな)

 

せっかくリチャードたちが楽しそうなので本当にもっといたかったのですが,疲労には打ち勝てず,ホテルに戻ったかにょ.

そのままベッドにダイブしてぐっすり眠ったのでした.ただ年越しの瞬間に花火を挙げて街中の人でウェイウェイお祝いしていたようで,その音で一回起こされました.

 

明日はリチャードのお友達の家に伺って一緒に新年をお祝いします!乞うご期待!

 

Richard Sinclair訪問旅行記2日目 in 2019

前回のあらすじ:リチャードとバーに行って音楽の話をした

 

2019年12月30日

朝7:00頃に起床.

疲れで早々と就寝したためか,すっきりと目覚めることができました.

せっかくなのでリチャードが来てくれるまでの間,マルティーナ・フランカの街を探索することにします.が,あいにくこの日は天気が悪く,外は信じられないくらい寒かったので,近くのカフェで朝食を済ますとほとんど部屋に引きこもっていました.

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南イタリアってもっとあったかいと思ってたよ…....ガチで東京よりはるかに寒かったです.

あとリチャードは「英語通じるから大丈夫!」って言ってくれたけど,全然通じなくて心折れかけました(私の英語が下手くそという要因も大いにある).「This one, please!」とかですら通じないので,どの店でもひたすらジェスチャーで店員さんとやり取りしていた.コミュ力が50ポイントくらい上がった気がします.

 

リチャードは部屋にいていいと言ってくれましたが,さすがに申し訳ないので5分前に外に出ます.

部屋の前の道路わきに立っているとほどなくしてクラクションの音が聞こえ,リチャードとヘザーが笑顔で手を振っているのが見えました!

後部座席に乗り込んで早速ヘザーにご挨拶.

HS:久しぶりね!昨日はよく眠れた?

リチャードも運転席から笑顔で振り返ってくれます.

RS:やあ,昨日はぐっすり眠れた?うん,よく眠れたみたいだね,昨日よりずっといい顔をしてるよ!

 

上にも書きましたが,あまりにも寒いのでこれが南イタリアの通常状態なのかと聞いたら,二人そろって「そうだ」との答え.少しだけ絶望を感じます.

 

そしてそのまま,リチャードの家まで連れて行ってもらうことに.ご飯はリチャードの家で食べさせてもらえるとのこと!つくづく思いますけど正気保ったままイタリアから帰ってこれたの本当に奇跡.

 

リチャードの家は中心街からさらに離れた場所にあるとのことで,街から出て周りにほとんど何もない田舎道を走っていきます.その途中にぽつぽつと他の家が点在しているのが見えました.

しばらくしてリチャードが「ほらトゥルーロだよ!」と声をかけてくれました.

窓の外にとんがり帽子形の屋根をした石造りの家が見えます.写真で見た通りのかわいらしい外見と,のどかな田舎の風景の組み合わせが素晴らしい.

しばらく窓の景色に見入っていたところ,ついにリチャードのお家に着きました!

本当に周りには何もありません.一番近い家(トゥルーロ)はどこなんだろう,と見渡してもよくわからなかったレベルです.

 

家の前には大きな白い鉄製の門があり,車に乗ったままどうやって開けるのかと思っていたら,なんと自動で開きました!ハイテクだ.

まっすぐ進んで家の前に車をとめるリチャード.リチャードの家も他の家と同様トゥルーロなのですが,この位置からではとんがり帽子屋根はあまりよく見えませんでした.

 

家からは既に犬の鳴き声がたくさん聞こえてきています(※リチャードはこれまでの来日時でも言及しているように,犬と猫をたくさん飼っています)

玄関の横に犬用のスペースを設けているらしく,金網ごしに犬たちがわらわら集まっているのが見えました.見たところ全部同じ犬種です.

ヘザーに案内され,家の中に入ります.入ってすぐ通路があり,その横の小部屋が大工仕事をするスペースのようです.部屋の中にも通路にも大量の工具や木材が置いてありました.その通路の先にもう一つドアがあって,そこを開けると居住スペースです.

リチャードが奥の扉を開けた瞬間,たくさんの犬たちが私めがけてどっと押し寄せてきました.めちゃくちゃかわいい.もう,ちぎれるんじゃないかってくらい尻尾ふってて人懐っこくて本当にかわいかったです……絶対飼い主の影響でしょ.

 

私:とてもフレンドリーですね!何という犬種ですか?

HS:ポインターよ.狩猟犬で,こうして獲物に狙いを定めるからポインターという名前なの.

と,両手で直線矢印の形をつくるヘザー.

RS:狩りには必要ないから尻尾を切ることもあるんだけど,僕はそんなことしてないよ.

近くにいた犬の尻尾にふれて微笑むリチャード.

 

ちなみに最近子犬が10匹生まれたばかりらしく,見せてもらいました.

部屋の端にストーブが置かれた空間があり,家の中で一番暖かくなっているのですが,そこに子犬用のスペースが2か所作ってありました.2つあるのは掃除するときに移動させるためのようです.

 

RS:今は寝ているみたいだから静かでよかったけど,起きると鳴き声がすごいんだ.

私:ちなみに今,家には何匹の犬が?

RS:全部で22匹かな.家の中にいるのが5匹,外に7匹,それに子犬10匹もいれて22匹だ.それから猫も6匹いるよ.

私:動物がお好きなんですか?とてもたくさんの犬と猫を飼っているので.

RS:うん,もちろん好きだよ.まあでも,これはさすがに多すぎるけどね……(苦笑)

 

二人に案内されてリビングスペースへ.

そばにあるソファにはやはり犬たちが寝そべっていて,もはや彼ら占有のスペースと化していました.

 

とにかくこの犬たちが大変にフレンドリーで,座ってヘザーと話をしている間も入れ替わり立ち代わりやってきて膝の上に鼻をのせてきました.

なでると気持ちよさそうに目を閉じていてめちゃくちゃかわいい…….ちっとも噛みつかないし吠えもしません.たまに私の膝に手をかけてのぼろうとすることもありましたが,リチャードがたしなめるとやめていました(別にいいのに).きちんと教育されてる感が凄い.

リチャード・シンクレア……ミュージシャンでありながらスーパーブリーダーとしての才能も発揮する男……

 

リチャードにコーヒーを入れてもらい,ヘザーにすすめられてグルテンフリーのカップケーキを食べます(ヘザーはグルテンフリーのものしか食べないそうです).

 

HS:マルティーナ・フランカの街は歩いてみた?

私:少しだけ.カフェに行ってみたんですが,その,コーヒーが…….私はコーヒーを頼んだんですけど,出てきたのが…….

HS:ああ,とっても小さいカップで出てくるでしょ?エスプレッソね.イタリアではコーヒーというとあれになるの.

RS:普通のコーヒーを飲みたかったら,カプチーノって頼むといいよ.昨日僕がそうしたようにね!

 

ヘザーはとても聞き上手です.私のつたない英語を焦れずに一語一語しっかり聞き,言葉につまると文脈から意図を汲んで会話をつなげてくれます.

一方でリチャードはとても早口で,自分がずっと喋っていることのほうが多いです.でも,こちらから話しかけるとしっかり聞いてくれます.私は英語を話すのは正直言って苦手なので,発音が悪くて怪訝な顔をされることも何度かありましたが,そのたびに「Excuse me?」もしくは「Sorry?」と丁寧に聞き返してくれました(「What?」とか絶対言わない).それは誰に対しても同様なようで,ヘザーと会話しているときも聞き返すときは常に「Excuse me?」でした.

リチャードの英語は発音だけでなく,言葉自体もとてもきれいです.

 

私がヘザーと話している間に,リチャードはキッチンで料理を始めようとしていました.お手伝いしましょうか,と声をかけましたが大丈夫とのこと.

私:料理はいつもリチャードが?

RS:うん,いつも僕がするんだ.毎日,毎朝,毎昼,毎晩,いつでもね!僕は料理が大好きなんだよ.

 

調理台の半分くらいが色んな調味料と調理器具で占拠されていたので,じっとながめていたらリチャードが色々説明してくれました.

RS:これは日本の醤油だよ.僕は日本料理が好きなんだ.こっちは梅干しペースト.イタリアではこれがなかなか高くて…….この鍋に入ってる豆は小豆.僕が豆の中で一番好きなのが小豆なんだ!今日は天ぷらを作ろうと思ってるよ.

 

醤油にいたっては1種類だけでなく,たまりやかえしなど複数種類ありました.おそらく日本の調味料だけでも,私の家よりシンクレア家のほうがはるかに品揃え豊富と思われます.

 

突然,「これはなにかわかる?」とリチャードに筒型のケースをわたされました.においをかいでみろというのでそうしたところ,おぼえのある香ばしいにおいがたちのぼりますが,何か思い出せません.首をかしげていると,リチャードに日本語で「ごましお」と言われました.さすが.

 

リチャードが料理をしている傍ら,ヘザーがパソコンを持ってきてCDをかけてくれました.

映像付きで,リチャード,アンディ・ワード,リック・ビドルフの3人のライブ音源.Caravan Of Dreamsだ!93年頃だろうか.

見たことのない映像だったので聞いたところ,ファンが撮影したのを編集してプレゼントしてくれたもののようです.デイヴさんの姿はなかったのですが,リチャードによるとCaravanに戻っていたか何かでいなかったのだとか.

私:アンディ・ワードさんとは連絡をとりあってますか?

RS:いや,彼はアルコールの飲みすぎで音楽活動からはすっかり退いてしまって…….連絡もとってないんだ.とても残念だよ.彼は素晴らしいドラマーなのに.

 

本棚にロバート・ワイアットのDifferent Every Timeがあったので見せてもらいます.

ロバートとは連絡を取り合っているのか聞いたところ,ヘザーがたまにメールをしているとのこと.ただ0日目の記録にも書きましたが,リチャードたちの住むところはネット環境がとても悪い上にパソコンの調子もよくないそうです.おかげでメールチェックが全然できないと言っていました.

 

リチャードが料理を作りながらトゥルーロの説明もしてくれます.

RS:トゥルーロはドーム型になっているから,この中で歌うと声が響いてとてもいい感じなんだ.冬はとても冷えるけど.だからストーブを二つ,常につけている.そこと(子犬のいる部屋),もう一つ別の部屋にね.それで家全体を暖かくしているんだ.

リチャードの言う通り,ストーブ以外の暖房器具は一切見当たりませんでしたが,それでも十分トゥルーロ内は暖かったです.

RS:ここに来て最初のうちは大変だったよ.ほとんど一から全部作らないといけなくてね.雨水を蓄えるために地下にパイプを通したり……家具もほとんど自分で作ったんだ.机とか棚とか.でもこのキャビネットは僕のお父さんが作ったものだ.カンタベリーから持ってきたんだよ.

と,重厚な作りのキャビネットを指して自慢げに笑うリチャード.

リチャード自身も大工として働いていた時期があると聞いていますが,彼のお父さんもまた大工でありミュージシャンだったと話してくれます.

リチャードのお父さんに対する尊敬の念はとても深く,これ以降もお父さんの話がよく出てきました.なお,この日リチャードはトレードマークのハンチング帽をかぶっていたのですが,これもお父さんのものだったのこと!物持ちがよすぎる……

RS:僕のお父さんが1950年代にかぶっていた帽子を何十年も経ってまだ僕が被っているなんて,不思議な感じだよね!

 

リビングにはLPの入った段ボール箱とCD棚もあったため,リチャードに断って見せてもらいました.LPをあさっているとO.A.K.のアルバムが出てきた!

私:あ!私これ持ってますよ!

本当に?と驚くリチャード.

私:もちろん!だってあなたが参加してますからね.

そう答えると,リチャードは「えー!またまた~(笑)」という感じですこし照れくさそうに,でもとても嬉しそうに笑っていました.

RS:本当はCaravanの1stアルバムのオリジナル盤とかも持っているんだけどね.それはとっても大切だから,別のところにしまってあるんだ.

 

CD棚には,ウェザーリポート,ジョン・マクラフリンマイルス・デイヴィス,それからもちろんキャラヴァン,ハットフィールド・アンド・ザ・ノース,イン・カフーツなどが並んでいます.イン・カフーツのCDを持っていると伝えると,これまたリチャードはとても嬉しそうな顔をしていました.

 

料理を作っている間に子犬たちが起き出したました.確かに10匹も集まると中々の声量です.

リチャードは「Puppies Crying~♪」と機嫌よく歌ったり,口笛を吹いたりしながら天ぷらを作っていきます.

作りながら日本の思い出話もしてくれました.ソロで日本に行ったときお世話になった人がたくさんいるとのことで,その人たちとの思い出話を聞かせてもらいました.「皆によろしく伝えておいてね」と何度も念押しされます.

 

これはヘザーにも,リチャード自身にも言われたことですが,リチャードはファンのことを「ファン」だとは思っていないそうです.

RS:「友達」だよ.僕らみんなミュージックフレンドさ!

友達の多い日本でまたライヴをやりたいという気持ちはとても強いようです.是非またライヴをしに行きたい,という話は何度もしてくれました.

 

この年Caravanが日本に来たことを伝えると,とても驚いていました.どこのプロモーターが呼んだのか,客入りはどれくらいだったのかと気にしています.あなたもHatfield and the Northで公演したクラブチッタですよ,と言うと,覚えていました.チケットが完売だったと伝えると「そりゃいいね!」と笑顔.

RS:でもそんなにお客さんが入るのなら,ライヴ音源を録音してアルバムにして売ればいいのに.そのほうがお客さんにとっても,バンドにとってもいいと思うんだけどな.それに一日だけの公演はキツイよね.時差ボケの関係もあるから,日本に行ってすぐにライヴをしてまたすぐ帰るっていうのは,体力的にしんどいよね…….

 ただリチャード自身は,はっきり言って今のCaravanに興味はないとのこと(「Paradise Filter」が出ていることも知らなかった).

RS:僕らが若いころは,僕らの間にマジックが生まれていて,お互いのやりたいことがうまくかみ合っていたけど……今はもう違うんだよね.

 

話すのに夢中になりすぎて,天ぷら用の油が熱くなりすぎてしまいました.しばらく冷まさなくてはいけないということでいったん休憩.

テーブルの端にクルミやオレンジが山と入ったかごが置かれていて,ヘザーに「食べる?」とすすめられました.オレンジを切ってもらっていただくと,そのあまりの美味しさに驚愕.日本のものとは全然違います.

またしばらくヘザーと話していると,ふと足元にやわらかい感触が.見るといつの間にか猫がやってきていました!エリックという名前らしい.

手を差し伸べたら,なんと向こうからぐりぐりとすり寄ってくる!

え......猫ってこんな人懐っこい生き物だっけ……私の知ってる猫じゃないんですけど……

これが……これがリチャードの教育の賜物……!

 

香ばしいにおいがしてくると思ったら,リチャードが栗を焼いていました.イタリアで焼き栗を食べるとは,と驚きつつテーブルに運ばれてくるそれに舌鼓をうちます.ヘザーがワインをいれてくれました.

そのうちに,ついに完成したリチャードの手料理がぞくぞくと運ばれてきました!

メインはえびといかの天ぷら,アボカドのサラダ,あずきごはんに梅干しペースト.

天ぷらは日本のものとは違って衣自体に味がついており,唐揚げといったほうが近いかもしれません.バジルかなにかのスパイスやごまの風味が効かせてあってとても美味しい.

「リチャードはとてもいいシェフですね!」と言うと,ヘザーが「本当にそうよ」とうなずいていました.正直,このレベルの料理を毎日食べられるのは本気で羨ましい.

 

食べ終わった頃には18:00を過ぎていました.今度は犬猫たちの食事の時間です.

リチャードが再びキッチンに戻り,巨大なボウルを取り出してそこにドッグフードをあけていきます.

RS:いつもはもっとちゃんとした肉をあげてるんだ.でも今日は切らしちゃってて……これはこういうときのための非常食みたいなもんだね!

 

固形タイプのドッグフードとドロッとしたタイプのドッグフードを混ぜ合わせ,家の中にいる犬たちも全部外に出して餌やりです.その間,ヘザーは子犬たちに注射器を使ってミルクをあげていました.

 

時刻は20:00を回っており,さすがに長居しすぎた……!ということで街に戻ることに.またリチャードの運転で送ってもらいました.スーパーマーケットで買いたいものがあるから,ということでヘザーも一緒でした.

スーパーではヘザーが「ホテルで何か要るものはある?」と聞いてくれましたが(めちゃくちゃ親切……),一通りそろっているので丁重にお断りしました.

リチャードは犬たちのための肉を大量に買い込んでいました(ちなみにこの「大量」というのは文字通り本当に“大量”で,低学年くらいの子どもならすっぽり入れそうなサイズの袋にぎっしりつめていました).

またホテル(というより部屋)の前まで送ってもらい,そこでお別れします.

「明日また12:00に来るよ!」とリチャード.

それじゃあおやすみなさい,と挨拶をして部屋の中へ入りました.昨日も書いたが最後まで正気,というか生命を保てたのは奇跡.

 

第3日目へと続きます.

明日はついにリチャードにインタビューする日です!乞うご期待!!

 

 

Richard Sinclair訪問旅行記1日目 in 2019

前回のあらすじ:飛行機の乗り継ぎがしんどい

 

とりあえずなんとか定刻通りバーリ駅についたものの,約束していた出口に行けば誰もいなくて途方にくれるかにょ.

まだ着いてないのかな?と思いしばらく待ってみましたが,一向にリチャードやヴィンチェンゾらしき人影は見えず段々不安になってきます.

一応,バーリ駅自体は思っていたより大きい駅で通りもそれなりに人通りはあるのですが,真冬の19時過ぎなので辺りは真っ暗だし,通りの壁にスプレーの落書きとかめっちゃ描いてあるし,アジア人ぽい人が全然いなくて通りを行く人にじろじろ見られるし,ぶっちゃけまあまあ怖い.

こんなときは迷わずヴィンチェンゾに電話.すぐに出てくれました!よかった!

「かにょです!今バーリ駅に着きました.どこにいますか?」

「やあかにょ!僕らもバーリ駅にいるよ.」

……あれ??

いやー……ここからが長かった.

多分30分くらいヴィンチェンゾと電話をかけあい,互いに「私はバーリ駅にいる」「僕らもバーリ駅にいる」的なやり取りを延々としていたんじゃないかと思います.

その電話ごしにかすかに聞こえるリチャードの声,高まる胸の鼓動.

しかしどこにいるのか,いっっっこうにわからん.

ヴィンチェンゾは生粋のイタリア人のためあまり英語が得意じゃないようで,「私のいるところからは○○というカフェが見えます!」とか色々言ったのですが,いまいち伝わっていないよう(かにょの英語が下手なのもあったかもしれない).

そうしていたずらに時が過ぎ,かにょの焦りと不安が最高潮に達しかけた頃…...!

 

……なんかあっちのほう人たくさん集まってるし明るいな……あれ?え?出口ってひょっとしてあっち??

 

完全に私のミスでした.なんか正式な出口じゃない変なところから出てしまっていたようです.ヴィンチェンゾ,リチャード,本当にごめんなさい……!!

それに気づいた瞬間猛ダッシュ.バーリ駅の看板がちゃんとかかった,本当の出入口にたどり着きました.で,リチャードたちはどこ……?と後ろを振り返った瞬間.

 

向こうから満面の笑みのリチャードがとことこ歩いてきました.

一瞬,長旅の疲れが私に見せた幻覚なのかと思った.ちゃんと現実だった.

 

リチャード(以下RS):遠いところを本当にお疲れ様、会えて嬉しいよ.わお,なんて冷たい手なんだ!

いきなり私の手を握り,矢継ぎ早にご挨拶.挨拶しようと思ってたこと全部吹っ飛んだ.

完全に思考停止してもごもごするかにょもそこそこに,「疲れてない?大丈夫?」と気遣ってくださるリチャード.優しい…….

後ろからヴィンチェンゾも登場.改めて初対面の挨拶を交わしました.

ちなみにその間もリチャードはずっと超笑顔で私の手を握ってました.

正直,あと5秒リチャードが長く私の手を握っていたら,心臓が破裂してバーリ駅で短い生涯を終えるところでした.

 

ホテルのチェックイン時間が迫っていることもあり,早速車に乗り込んでマルティーナ・フランカへ向かいます.運転はヴィンチェンゾで,助手席にリチャード,私は後部座席.

車内でリチャードはしょっちゅう後ろを振り返り,「Are you OK?」と様子を気にかけてくれました.

RS:長旅だったでしょ.疲れてるんじゃない?

私:実を言うと少し…….

RS:そりゃそうだよ!今日はとりあえずゆっくり休むことだけ考えて.ホテルに着いたらしっかり寝るといい.ところでアムステルダムを経由してきたんだって?他にはどこか経由したの?東京から来たんでしょ?

私:東京,北京,アムステルダム,ローマです.

北京!と感慨深そうに繰り返すリチャード.

RS:東京,北京,アムステルダム,ローマ!それは疲れているだろうからよく眠らなきゃね!

そんな大変な道のりをわざわざ来てくれたんだね~ととても嬉しそうな笑顔のリチャード.地上に舞い降りた天使がここにいます.

 

しばらくお互いに色々と質問しながら高速をドライブ.

リチャードの住む家の近辺では,なんと今日雪が降ったんだとか.

南イタリアは日本より暖かいのかと思っていました(リチャードの家はマルティーナ・フランカの中でも高地にあるため,余計寒いのだとか).

 

しばらくしてリチャードが「きみの名前はなんて発音するの?」と聞いてきました.

私の本名は欧米人には発音が難しいようです.そんなわけでヴィンチェンゾとそろってしばらく発音を練習.

「ところでヘザーは元気?」と聞くと,一瞬怪訝な顔をするリチャード.どうやら私の「ヘザー」の発音が悪かったようで,今度は私が発音を練習するはめになりました.ヘザーもとても元気にしているようでよかった.

 

高速をドライブしてもうすぐマルティーナ・フランカに着くかというとき,前方の山に巨大な星のイルミネーションが現れました.京都の大文字焼のような感じです.

私:あれは何ですか?

RS:クリスマスのイルミネーションさ.

私:(イタリアではまだクリスマスなのかな……もう29日だけど……)クリスマス・ホリデーっていつからいつまでなんですか?

RS:毎日だよ.僕にとっては毎日がクリスマスだからね!

楽しそうに大笑いするリチャード.

 

車に乗ってからのリチャードはずっと喋っているか,鼻歌を歌っています.

私と話していないときはヴィンチェンゾと話していました.が,先ほども書いたようにヴィンチェンゾは英語はあまりわからないようです(私とのメッセンジャーのやり取りも短文が基本でした)

聞いてみると,ヴィンチェンゾはリチャードの言っていることは1/4くらいしかわからないとのこと.ではリチャードにイタリア語を話せるのか聞くと「話せない」.

それでなんでこんなに仲いいの?

しかし不思議なことに,実際会話も通じてしっかり意思疎通できています.

 

そうこうしている間にマルティーナ・フランカの街に着きました.

先ほどもリチャードが言ったようにクリスマス・ホリデーの真っ只中のためか,街中イルミネーションでいっぱいです.中心部には巨大な光るクリスマスツリーが高々とそびえたっていました.

ザ・ヨーロッパのクリスマス」って感じの豪華な装飾で正直めちゃくちゃテンション上がりました.が,リチャードはこういう人工的なイルミネーションは好きじゃないようで,見かけると「horrible」と連発していました.

 

ヴィンチェンゾは私をホテルまで送ってくれただけでなく,到着した旨をオーナーに伝えるため電話までかけてくれました.イタリアの人は本当に皆親切です.

私の泊まったところはホテルというよりアパートの一室のような感じで,中にはベッドだけでなく調理器具なども一式そろっており,泊っている間そこで自由に過ごしていいというスタイルでした.

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オーナーの女性が鍵をもって部屋の前まで来てくれます.とても感じのいいきれいな方で,部屋の使い方を丁寧に説明してくれました.

リチャードとヴィンチェンゾも部屋に入ってきて,ニコニコと一緒に説明を聞いています.何この状況.

 

RS:彼女(かにょ)のために素敵な部屋をありがとう!彼女はわざわざ日本から僕に会いに来てくれたんだ,北京,アムステルダム,ローマと経由してね.僕がミュージシャンだから!

と物凄い勢いでオーナーに説明しているリチャード.ちょっとだけ困った顔をしているオーナー.

オーナーが帰っていくと,リチャードに「アルコールが欲しくないかい?」と声をかけられました.

 

RS:疲れているだろうから少しだけね.近くのバーに飲みに行こう.

 

 

三人で近くのガソリンスタンドに併設されたバーに入ります.

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ビールは棚から好きに自分で選ぶスタイルだったので,とりあえずハイネケンを選択.リチャードは「グッドチョイス」と言ってくれました.そんなリチャードの注文はブランデーとカプチーノ

私:コーヒーがお好きなんですか?

RS:いや,それほどでも.家ではあまり飲まないよ,ヘザーは毎日たくさん飲んでるけどね.

飲みながら日本に行ったときの思い出を語ってくれるリチャード.キャメルでの初来日は非常に印象深かったらしく,プロモーターの対応も観客の反応も何もかも素晴らしかったと話してくれます.

RS:それに航空会社もよかったね.JALは僕が一番好きな航空会社だよ.JALは最高さ!

私:私はブリティッシュエアウェイズも好きですよ.ロジャー・ウォーターズのツアーを見に,グラスゴーに行ったとき使ったんです.

RS:あ!去年ゴリツィアで会ったとき,きみがその話をしてたのを覚えてるよ!

たしかに,去年ゴリツィアでのリチャードのソロライブを見に行ったとき,その話をしました.そんな些細な話を覚えていてくれたなんてただただ感激.

 

私:ピンク・フロイドは好きですか?

RS:んーそれほどでもないかな.ああいう大きな会場でやるようなライブ・バンドにはあまり興味がなくてね.もう少し小さな会場で,聴く人一人一人に届けられるような音楽をやりたいと思っているから.

私:他のプログレッシブロック系のアーティストは?

RS:そもそも自分のことをプログレッシブロックのミュージシャンだと思ったことがないからね.

ここでふと店の音楽に耳を傾けるリチャード.イタリアかどうかはわからないけれど,どこかの国のポップソングが流れてきます.

RS:多くのミュージシャンは,こういう他のミュージシャンの音楽を聴いて音階がどうだの,テクニックがどうだのという話をするよね.でも僕にとって音楽というのはこういうものだけじゃないんだ.周りにあるものすべてがそうなんだよ.例えば赤ちゃんの泣き声だったり……そういった物音すべてが僕にとっては音楽なんだ.きみは何か楽器はやるの?

私:いいえ何も.

RS:そんな!どうして?やればいいのに!

私:あまり時間がないのと……私には難しすぎて.

RS:そんなことないよ,音楽はそんなに難しいものじゃないんだ.

「いいかい」とギターを弾くポーズをとるリチャード.

RS:音楽というのは,本当はシンプルなものなんだよ.ギターの音階は12個しかないでしょ?その12個の音によってつくられているものなんだ.難しいものじゃないんだよ.

「ね?」とまた楽しそうにニコニコ.

いつの間にか全員の飲み物も空になっており,バーを出ることになりました.

 

RS:明日またちゃんと会おう.それで明日なんだけど,僕の車の調子が悪くてね.昼の12時ちょうどには君を迎えに来られると思うよ.だから部屋の中で待っててくれ.外は寒いからね.

私の部屋に戻る道中,リチャードは何度も時間と場所を確認してくれました.

RS:今日のバーリ駅では色々と大変だったからね.お互い間違わないようしっかり決めておこう.12時に君のホテルで.いいね?ちなみに朝ごはんだけど,マルティーナ・フランカにはカフェがたくさんあるから困らないと思うよ.きみのホテルはメインストリートにも近いし,いいところを選んだね!それに最近は英語が通じる若い人も多いから,きみが英語で話しかければきっと相手も英語で返してくれると思う.だから心配しなくても大丈夫だよ!

 

部屋の前に着くと,リチャードは運転席にヴィンチェンゾを残し,わざわざ車から出てきてくれました.

「それじゃあまた明日に」と挨拶を交わして,私は部屋の前へ.

鍵を開けて振り返ると,まだリチャードが車の脇に立って見送ってくれています.

そして互いに笑顔で手を振り合ってから部屋の中に入り,初日はこうして終わったのでした.最後まで正気を保てていたのはわりと奇跡です.

 

 

以上,リチャードと出会った初日の記録でした.いかがでしたでしょうか?

次の日は昼からリチャードと会うことになりました.明日はその模様をお届けできたらと思います!

次回,ついにリチャードのご自宅に突撃訪問!……乞うご期待!!

Richard Sinclair訪問旅行記0日目 in 2019

こんばんは,かにょです.

いつの間にかもう年末ですね.今年は本当に色々と激動の1年でした.

 

このようなご時世なので今年の帰省は諦めたのですが,ところで去年も帰省してなかったよな,とふと思いまして.

なぜかといえばそりゃもう,

リ チ ャ ー ド に 会 い に イ タ リ ア に 行 っ て た か ら.

ご自宅にお邪魔してインタビューをさせていただいた次第です.そのインタビュー記事はこちらにアップしておりますので,是非まだ読んでない方はご一読ください!(笑)

 

kanyo-rsqp.hatenablog.com

 

とまあ,このような形でインタビュー記事を挙げたりしていたわけですが,実は全然これだけじゃないんです……これだけじゃないんですよーーーーーーーーー!

このときの旅行は全部で5日(12月29日~1月2日)にわたりイタリアにいたのですが,そのすべての日においてがっつりリチャードと過ごしておりましてね…….

インタビュー記事だけじゃリチャードの可愛さ・無邪気さ・清らかさの10分の1も伝えられんのですわ……

本気出したときのリチャードの破壊力こんなもんじゃないから.

まあそんなこた皆さん十分ご存知だと思いますが.

 

と,いうわけでその全体の旅行記的なものもどこかでお披露目したいと思っていたのですが!今年は帰省もできんことだし,やるなら今しかない!!

そこで,去年リチャードと過ごした1日ずつを今年の同じ日にアップしていこうと思います!

つまり29日~1月2日の5日間は毎日更新すると思う(多分)ので,皆さんチャーミングなリチャードの記事を読みに来てくださいな.

 

とりいそぎ,今日のところは旅行記0日目(日本出発の日)の記録をしたためさせていただきます.

ちなみにリチャードは全く出てこない,なんならカンタベリーも出てこない,完全なかにょの個人記録です.ブログの趣旨にも反するので載せるか迷ったのですが,いきなりイタリアからストーリー始めるのも難しかったので……よろしければ興味のある方はご覧ください!

 

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2019年12月28日

 

年内の仕事も無事に完了し,前日の納会では同期に「私明日からイタリア行くんだけどマジノープランなんだわ.とりあえず好きなミュージシャンの家に行けるっぽいんだけどそこからどうなるかわからん」と話してドン引きされたりしつつ,無事成田空港に着きました.

はい,本当にこのときはノープランでした.わりと真剣に不安だった.

そもそもリチャードのご自宅に行けるようになった経緯は,同年の夏~秋くらいに奥さんのヘザーに「インタビューさせていただきたいので,マルティーナ・フランカ訪ねてもいいですか?」とメールしたら,快く了承していただいたという流れです.

なのでそこから大急ぎで飛行機のチケットとったり,マルティーナ・フランカのホテルを確保したり,最低限の準備はしてきたのですが……

マルティーナ・フランカへの行き方がマジでわからん.

いや,マルティーナ・フランカまではギリ行ける.めちゃくちゃ遠いけど.

ただそこからリチャードのご自宅までどうやったら行けるのかがさっぱりわからん.

いつ何日何時にどこでリチャードと待ち合せたらいいのか,さっぱりぽんですよ.

 

もちろん私もバカではないのでね,ヘザーやリチャードにメール送ったりなんやかんやしていたのですが,マルティーナ・フランカのネット環境はめちゃくちゃ悪いようで.よく音信不通になるんですよ.

なので結局,結論が出ないまま日本を発つことになりました.はい,かにょはバカでした.

そんなわけで大いなる不安を抱えたまま成田空港に降り立ったわけです.そりゃ同期もドン引きするわ.

 

出発が16:00くらいの便だったので,昼過ぎくらいに空港についてご飯食べたりしつつ,のんびりと過ごしていました.このときはまだ余裕があった.まだ.

なお,このときの経路は日本→北京→アムステルダム→ローマという流れ.

ローマからは列車でバーリ駅.バーリからマルティーナ・フランカまでは,現地のリチャードの友人ヴィンチェンゾが車で迎えに来てくれることになっていました(Facebookを通じて知り合った方で,直接会ったことはない).

最後の方が綱渡りな気がしないでもないですが,この時点では日本発つだけだしね,何も起こらんだろうと高を括っていたら.

飛 行 機 が 遅 れ る じ ゃ な い で す か.

 

事前にネットで北京国際空港のトランジットはめちゃくちゃ時間がかかると聞いていたかにょですよ.一気に血の気がひきましたね.もとからトランジットの時間が3時間弱くらいだったのですが,これで2時間弱になりました.既に瀕死.

遅れるアナウンスがあったときに航空会社のスタッフに「どれくらい遅れるんですか?」って聞きに行ったんですが,私の前に同じこと聞いてる同世代の女性がいました.かなり不安そうな顔していたので,もしかして同じ乗り継ぎかな,と勝手にシンパシーを感じていました(実際そうだった).

 

で,実際に北京国際空港着いてからが本題ですよ.

まず,乗り継ぎだろうがなんだろうが入国審査があります.

その列を見て絶望に叩き落されるかにょ.すっげ~~~~~~長蛇の列……

最初普通に並んでいたのですが,途中で「あ,これもう間に合わないな」と思って意を決して前の方の人に頼み,快く譲っていただきました.

入国審査が終わってからは猛ダッシュ.まず空港内の地下鉄に乗って移動します.

地下鉄出てからさらにダッシュ.次に目指すはバス乗り場です.

バス乗り場……バス乗り場どこ!?!?

空港が広すぎて全然わからん.このときわりと泣きそうでした.

とりあえず前方にさっきの女性走ってるから追っかけよう!とそのとき,後ろから足音が.

入国審査で譲ってくれたおじさんでした.

「もしかしてKLM航空アムステルダム行きですか?」と走りながら聞いてくるおじさん.

「そうです!」

「同じだ!(笑)」

同じ便だったんかい!それで譲ってくれたのめちゃくちゃいい人だな!

そこからはちょっとだけ心強くなり,2人で励まし合いながらバスを見つけ,乗り込みました.ちゃんとさっきの女性もいた.

 

というか,同じ空港なのにバスに乗って移動するってどういこうこと?どんだけ広いの?

いや50歩くらい譲って空港内の地下鉄はわかるけどさ……他の空港にもあるし……

でもバスはやりすぎでしょ!!めちゃくちゃドキドキしたわ!!なんでこんなことするの??

 

で,15分くらいゆられて乗り継ぎゲートに到着.

そこからチェックインや荷物検査を経てようやく搭乗口に着けました.なんだかんだ搭乗開始30分前くらいでした.

ちなみにチェックインのときに前述の女性,私,おじさんで並んでいて,誰ともなく「皆同じ便ですよね(笑)この乗り継ぎ心臓に悪すぎ……(笑)」みたいな会話をしてちょっとだけ連帯感が芽生えました.旅の醍醐味.でももう二度と経験したくない.

ちなみに同じ乗り継ぎ勢,あともう1組カップルがいて我々の後ろで「乗り継ぎやばかったな~」みたいな話をしていましたが,そことは別に連帯感は芽生えませんでした.

 

譲ってくれたおじさんとは搭乗開始になったときにも一緒に並んで,色々話して仲良くなりました.

おじさんが帰りも同じ乗り継ぎ経路を逆に行くのにもとから時間が1時間半しかないことに気づいて,

「これ絶対乗れないから帰国日ずらさなきゃ.仕事1日休まないとな~」

「せっかくならその1日で北京観光すればいいじゃないですか(笑)」

とか言って盛り上がってました.

名も知らぬおじさん,その節はありがとうございました.

多分,おじさんがいなければバスの時点でかにょはガチ泣きしていた.

 

とまあこんな感じで最初から波乱万丈でしたが,その後は可もなく不可もなくといった感じで,アムステルダム→ローマの乗り継ぎは大変スムーズでした.

ただしアムステルダム着いたのが29日の午前6時とかだったのでめちゃくちゃしんどかった…….

待っている間濃いコーヒーを飲んで目を覚ましていました.まあ後述のようにローマ着いてからがさらにしんどかったのですが…….

 

空港からローマのテルミニ駅行くまではそんなに難しくなく,無事駅に到着しました.バーリ行の列車まで2時間くらいあったのでその間にお昼を食べます.イタリアのピザはマジでうまい.

バーリまではさらに5時間列車に乗ります.これだけ飛行機乗ってきてまだあと5時間……正気か?そこからリチャードの友人と合流して車で1時間…….

遠い.マルティーナ・フランカがあまりにも遠い(泣).

 

しかも,迎えに来てくれるヴィンチェンゾとメッセンジャーでやり取りしていたら,ネットが家の中でしか使えないからバーリ駅に行くとメッセンジャー受け取れなくなると言われて絶望でした.

どう待ち合わせしろと……?とりあえず携帯の電話番号は教えてもらいました.

前途多難すぎる.

 

 

でもヴィンチェンゾから,リチャードも一緒にバーリまで行くことになったよ,と連絡が.

 

フオオオオオオオ頑張る!!5時間の列車旅なんてなんぼのもんじゃい!!ウオオオオオオオオ!!!!!

 

 

テンションがぶち上がったところで列車に乗り込み,そこから5時間揺られっぱなしでした.14時くらいにテルミニ駅を出てバーリに着いたのは19時過ぎ.マジでしんどかった.

到着後,ヴィンチェンゾからバーリ駅の出口に来てくれ,と言われていたのでホイホイと勢い込んで出口に向かうかにょ.

ようやく長かった旅も終わりだ……リチャードに会える……頑張ったなあ私…………

誰もいなくない?あれ?リチャードどこ?

 

次回,果たしてかにょは無事リチャードに会えるのか……!?乞うご期待!

Mark Hewins Interview

This article is about inerview of Mr. Mark Hewins, who is one of the most important musician in Canterbury Scene. I interviewed him on October in 2020 by e-mail.

Please enjoy!!

 

ーWhat got you interested in playing the guitar? What kind of music do you enjoy listening to besides Canterbury music?
At age 11, I heard lightning Hopkins playing the blues and went straight out and bought the album. This was the first album I ever bought. These days I listen to Joe Pass, Wes Montgomery and a lot of Indian and other devotional Music. (Amongst other, random things)


ーWhat is the first Canterbury album that you heard? 
The first Canterbury album I heard was ‘Land of Grey and Pink’ by Caravan. It had just been released and I was struck by the quality of the songs and specifically by Richard Sinclair’s bass playing and singing. It affected me a lot, as it has many others.


ーPlease let me know how you came to join in Canterbury Scene in detail.
I met Richard and the others at the second Hatfield and the North Rehearsal at Jubilee Studios in London. We talked about equipment and he invited me to come to Canterbury. (Where I moved in 1974). I knew of Canterbury because as a child I often visited Herne Bay on the Kent Coast, which is a regular haunt for people from South London, and Canterbury is close by.
When I moved to Herne bay I was playing both solo and in bands around the area, including Canterbury, where I had the residency at Alberry’s, with my band Polite Force which included Graham Flight who had played with ‘The Wilde Flowers’. Dave Sinclair was a member of the band and a number of Canterbury Musicians, including Richard Sinclair and Hugh Hopper would come to hear us play. We had many guests including members of Camel and Tony Coe, amongst others.


ーWhen and why did you move to Margate?
I lived in Herne bay from 1974 to 1979 and when my wife and I decided to relocate from London to the Coast, we looked at houses in and around the Herne Bay area. After living in Whitstable for a couple of years we found the perfect house just along the coast in Margate and are still living there.


ーPlease tell me what made you to establish Musart Label. I think it is very hard (of course it is really precious and important, too) to do both musical activity and label works at the same time. What is your driving force?
I established Musart because I wanted to move away from the regular music labels and control my own work and benefit financially from releasing material, rather than waiting on label owners. Other Canterbury musicians are also on the label; for the same reasons, I think.


ーWould you tell me how you came to join in Soft Heap in more detail? Who introduced you to them?
I was playing with John Stevens and Elton Dean. Elton knew my playing and of my Canterbury connections and asked me join Soft Heap after Alan Gowen tragically passed away. I knew Pip, of course and although I had never met John before, (who was also new to the group), we all got along; Musically and personally, very well!


ーThis photo from “A Veritable Centaur” booklet was taken at Gloucester Arms, wasn’t it? Who was the best billiards player of all of you?

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We were all terrible players, although a pretense of skill was strongly in evidence!


ーYou have collaborated with Mr. Hugh Hopper so many times. When did you meet Hugh for the first time?
I first met Hugh in Canterbury, when he came to see me play at Alberry’s in the late 70’s. He said really liked my playing and much later asked me to join his band, The Max Axe Quartet. We also played together at many engagements and on many albums over the years.

 

ー You said “Soft Heap is the best band I have ever been in, in any context.” in previous interview on "Calyx". I would like to know more details about the reason that you said so.
I have worked in the Bob Geldof band and with Lou Reed amongst others, but the band I most enjoyed playing in was definitely Soft Heap. The playing was never predetermined; although we developed a Musical ‘shape’ over the years. It flowed as a stream of consciousness from the Musicians, I have never encountered such artistic chemistry before or since - we were perfectly attuned to each other. As a young player, (The others, were older than me), I found it very exciting.


ーYou wrote that you used to see Mr. Alan Gowen before you join in Soft Heap in “A Veritable Centaur” booklet. Would you like to tell me what kind of person he was?
I did not know Alan very well. I always met him in the company of others and he was quite ill at the time. I can say that he lived up to his reputation for being a gentle and extremely talented musician.


ーThe front and back cover photos of “A Veritable Centaur” were taken by you. Where did you take these photos? And why did you choose these photos for album cover?
The photos were taken in Lille, Northern France, which was always the starting point for our concerts in Europe. We thought that the photos resembled a female breast – a soft heap.


ーYour playing in “Moon Over Man” and “Polite Force” has fusion color. But after that, your music including Soft Heap has more avantgarde and free jazz element. Are there any influences from other musicians and so on?
I have developed my own style over the years and I have attempted to push forward with my playing rather than live in the past. I dislike the idea of copying other musicians and playing the same music over and over again. This is why you will rarely see me playing cover numbers, or in groups that keep regurgitating the same songs year after year.


ーWhat is the most important thing when you are playing the guitar? Are there any players who have an influence on your play?
The emotional content, guitar tone and intent have always been major factors. I want to communicate with the listener in a way that stirs their emotions in some way. Whilst I listen to a number of gifted guitar players, I always try to create my own voice.


ーPlease let me know about your composition. What is the significant thing when you compose the songs?
I have composed a number of tunes in the past and was influenced by world events and people I knew. For example, Hugh’s News (Tanker Rescue Bid) was written after an oil tanker sank and later dedicated to Hugh Hopper. Led it Lay, which we played with Richard Sinclair’s band, Going Going, and the original ‘Caravan of Dreams’, was written for my wife Yvonne before we were married. But, I much prefer spontaneous composition e.g. the tunes on the latest release, ‘Taxonomies’, with Martin Pyne and Alex Maguire, were entirely improvised.

discusmusic.bandcamp.com


ーYou came to Japan on Gong’s tour. Do you have any impressive memories in Japan?
Japan is my absolutely favourite country and I have many friends there. I seek out Japanese food wherever I am and there is a Japanese restaurant that I visit weekly near to my home.
When I was there in 1999, I was able to meet one of my dearest Japanese friends and soul brother, who I have known since the mid 1980’s as a serious collector of Canterbury music and improvised jazz.
The last time I was there with my wife in 2017, I was visiting as a tourist for the first time. We stayed in Hiroshima and my soul brother showed us around the memorial, which was a very moving experience. When we stayed in Kyoto, some wonderful Japanese friends came especially from Nagoya to show us around the Temples and Shrines in the Gion district. There is so much more to see and experience and I can’t wait to return to continue to explore the Country and culture.


ーPlease tell me about your current musical activities. I think the coronavirus effect is really serious for all musicians. What kind of impact is it having on your activities?
I am still able to play concerts near to where I live, but international travel is not an option at the moment. I am releasing material on BandCamp and the fans can see that at

https://www.markhewins.bandcamp.com.

I continue to publish images and stream music on my web site

https://www.playback.co.uk.

 In addition, I meet with musicians from around the world on Zoom to play and record improvised music. It is just another way of working!


ーAbout “EDQ BBCR3 and More”, which you released very recently, is there any messages about these difficult situations from you in “Hard Times For Dreamers”?
The album ‘Hard Times for Dreamers’, is referring to the current situation in which we all find ourselves. It is hard financially, emotionally and mentally for all of us.

markhewins.bandcamp.com


ーAbout “Lyn Dobson & Mark Hewins” that you released on April this year, I was very surprised to know that Mr. Eric Peachy joined as a guest! How did you come to collaborate with him?
I was introduced to Eric by Jack Monck, the bass player from the band Delivery, and we played together regularly from them on. It was natural for him to join us on the album as we were all together in the same place when that track was being recorded.

markhewins.bandcamp.com


ーWould you tell me about future plans about both your musical activity and Musart releases?
I am continuing to release largely unpublished music via Bandcamp and the next release will be another Hopper/Hewins album. Promoters are starting to get in touch again, with tours being planned for 2021/22. Let’s hope we are able ‘to get back on the road’ then.


ーI’m sorry it might be difficult question, but what is “Canterbury music” for you?
Haha :D - That question would be the subject of another entire interview.

 

2020. 10. 10. 

interview by Kanyo (Twitter: @kanyoko_RSQP)

I really appreciate to Mark's kindness from the bottom of my heart.

Thank you for reading!!

 

Das-Association vol.1 発刊です!

こんばんは。

かにょです。

 

長らくブログ更新を放置していて大変恐れ入ります...

この度,ようやくカンタベリー・ファンジン第2弾「Das-Association Vol.1 Alan Gowen特集~その軌跡を辿る~」が発刊になったのでお知らせいたします!

 

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発刊にあたり,インタビューに答えていただいたMark Hewins氏や「みんなのProgレビュー」に応募くださった皆様をはじめ,ご協力いただいたすべての方々に心から感謝いたします。

前回と同様,下記の通販サイトより販売しております。

今ご注文いただけたら年末までにはお届けできると思います!

年末年始はのんびりと家で過ごしながらカンタベリー・ファンジンを読むというのもいいかもしれませんね(^-^)/←

ご購入していただけたらとても嬉しいです!

das-association.booth.pm

 

なお,こちらも前回と同様次の4店の皆様に委託販売もさせていただいております。

送料もかからないですし,是非,お近くの方はこちらでご購入していただけたら幸いです。

Rock Bar 童夢

rockbardome.jp

 

まごころ居酒屋ROUNDABOUT様

ameblo.jp

 

Rock Bar Starless様

uni-hiron.wixsite.com

 

ワールド・ディスク様

www.marquee.co.jp

 

正直なところ,個人的には年内に発行できてとてもほっとしています…本当によかった…

今回はカンタベリーだけでなくブリティッシュジャズにも触れていたり,Gilgameshの主要メンバーの個人Discographyがあったりと,手前味噌ながら中々充実した内容になっているのではと思います!

是非,たくさんの方々に読んで楽しんでいただけたら嬉しいです!

ご興味のある方は是非買って…買ってください……!!笑